わたしはここにいるよ

インターネットの片隅で愛を叫ぶ

【第七章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」

むだに多い二つ名!その名はヘタレ指揮者監督オナニストサイボーグ!葉月ひろなです。こんにちは。昨日元夫に「あんたとの日々を連載してる」と話したら「バットエンドだけどな!」と笑っていました。今こうして笑って話しているからバットエンドじゃないよ。確かにとんでもない結末だが!そんなこの連載。今日こそ【【第六章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ】の続きのお話です。現場の指揮がまったくとれませんが監督がんばります!お前ら!持ち場にはついたな!今まで食べたパンの枚数なんて覚えてなくていいから今日のエピソードだけは完璧に覚えて演じろ!今日めっちゃ大事な場面だから気抜くなよ!スタァァァァァァァァーーーーーーーーート!!!!!!!!!!!

 

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【第一章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第二章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第三章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第四章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第五章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第六章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

【第6.5章】元夫「勇気」との日々。わたしの学んだ、あなたの「勇気」 - わたしはここにいるよ

↑サイボーグになった詳細とそのサイボーグによるオナニー。【第6.5章】では登場人物の外見とスペックをお話しています。ぜひわたしの周りのハイスペックさを思い知って草を生やしてください。

 

 

あなたと、はじめての。

次に会う時に、告白しよう。そう決意をしたまま、そのラウンドワンの上の階にあるネットカフェのようなところに、ふたりで移動しました。「この席ならふたりで座れるな」そう言う勇気さん。本当にネットカフェみたいなそのフロアーは、それぞれが隣からは見えないように壁で区切られた“個室”みたいになっていました。わたしはまだこの時、ネットカフェ自体も知らなくて。(すごい。こんなフロアーもあるんだ、ラウンドワンって)と、感動していました。他にもここに来るまでの間にカラオケルームみたいのもあった。あれも使い放題なの?すごい、ラウンドワンって本当にすごい。こんな場所を知っている勇気さん。この人、本当にすごい。てか、パソコンある!わたし、パソコンしたい!

 

そうしてふたりで個室の中の二人がけソファに座って、「あのね、わたし今自分のホームページ持ってるの!」と言いながら、自分のサイトのURLを入力し、その画面を開きました。二次創作活動をしている携帯サイトではありません。このホームページは「わたしの言の葉で綴る、わたしから見えている世界」を表現する場でした。わたしは15歳か16歳の頃に独学でHTMLタグをほとんど覚えて(今はそういう授業も学校であるんですかね?わたしが学生時代は義務教育ではパソコンの授業は一切なかったし、ようやくインターネットが普及し始めた高校時代もそんなにはなかったのでひたすら独学でした。タイピングもチャットでみんなについていきたい一心で必死に自宅で練習してました)、予備校の彼とつきあっていた時に運営していたホームページも、ホームページメーカーに一切頼らず、それなのにホームページメーカーを使っている友達に「なんでこれタグだけで作れるん?」と驚かれたぐらい、タグを使いこなせていました。そして当時はブログという概念自体がまだそんなに普及していませんでした。ブログを使っている人もいるし、タグでブログみたいな造りを作成して日記のように使っている人もいました。この勇気さんに見せたホームページは、ホームページのデザインを素材として配布しているサイトさんからダウンロードしたものでしたので、自分で作ったわけではなかったのですが、それでもタグは理解していないと編集や更新は出来ません。とてもきれいな、おそらく一眼レフカメラで撮ったのであろう素敵な桜の写真を背景に使った、とても素敵なデザインのホームページ。いつかこんな世界を、自分の力で作れるようになってみせます。それまで、お借りします。ありがとう。そんな気持ちでそのデザインの素材を使っていました。そこに綴ってある言葉を、このやさしい隣の人に、見せたかったのです。わたしから見えている世界を、一緒に見てほしかったのです。

 

それを一緒に見ている途中から、勇気さんが腰に手をまわしていてくれて。肩だったかな?どちらかだったかは忘れてしまったのですが、わたしを抱き寄せながら、わたしの話を聞いてくれるのです。本当にうれしくて。あのね、あのね、と話すわたしを、うるむような瞳で見つめていてくれて。なんで、そんな、まるでかわいい子供を見つめるような、「この子、かわいくてたまらない」そんな瞳と笑顔で見つめてくれるの。そんな自分の気持ちを悟られないように、いや、もしかしたら、それを本当は悟られたいのだけど、一度話し始めるとなかなか止まらないわたしは、あのね、それでね、と話を続けていました。そんなわたしを、

 

ぐいっと引き寄せて、キスをしてくれました。

 

くちびると唇が離れて、今の、なに。そう一瞬でわたしの顔が、パァっと明るくなって。勇気さんも、勇気さんも。勇気さんも、わたしのこと、好きなの?好きになってくれたの?わたしたち、同じ気持ちだったの?うれしい。うれしい。うれしい!

 

「なんで、キスしたの?」

 

うれしそうにわたしがそう訊くと、勇気さんは「うーん…………」みたいな顔をしているのです。なんで!?なんでそこでその顔になる!?なんでそこで悩む!?キスしてきてくれたのあなただよ!?後悔している顔ではないのはわかるけど、なんでこの質問に、あなたは何かを考える顔をしているの!?

 

「俺、もうすぐ静岡行くからな…………待たせることになるけん…………でも。つきあおうか」

 

遠距離恋愛になることが、申し訳なかったんだよ。そんな顔で、それでも笑顔で、勇気さんはそう言ってくれて。「なんかな。この子、自分のこと知ってもらいたくて、たまらないんだな。って、思ってな」あまりにかわいくて、思わず身体が動いたんだよ。そんな表情で、そう言って、頭をなでてくれて。今思い出すと、その言葉に涙が溢れる。自分のことを知ってもらいたい。そんなつもりは当時はなかったけれど。わたしはここにいるよ。そう、インターネットの片隅で叫び続けたい。それを最初にわかってくれたのは、そんなわたしを最初に見つけてくれたのは、あなたでした。その言葉が、それをわかってくれたあなたの言葉が、わたしたちの恋がスタートされた、わたしたちが恋に落ちた、わたしたちの歴史が始まった、合図でした。

 

「わたし、次に会った日に、告白しようって思ってた」

「明日やん!」

「うん、でも、なんでかな?なんでか次に会った日って思った!」

「そーね」

 

この彼の「そーね」は、言葉でそのイントネーションをあらわすのが難しいのですが、「そうなんだ」や「そうなのね」を、まるで小さい子どもに「あなた、かわいいね」という気持ちで話すような、とてもやさしいイントネーションの言葉なのです。それから、ふたりでそのネットカフェのような個室の中で、キスをたくさんしました。何度も繰り返すキスの中で、心なしか、勇気さんの性器が興奮しているような。少しだけ、服の上から胸も触ってくる。それすらも嫌じゃない。大人から見たら、はしたないって思うんだろう。同じような年齢の人から見ても「せめて3ヶ月はお互いに手出すな」って思うんだろう。でも、わたしは嫌じゃない。この人に身体を触ってもらえること、嫌だなんて思わない。何度も何度もキスを重ねて、わたしはこのネットカフェのようなところに来る前にタバコを吸いに喫煙所に寄ったから、きっとタバコのフレイバーがするだろうけど。宇多田ヒカルさんの歌のように。でも、そんな最後の切ないキスじゃない。ふたりの始まりの、たくさんのキスをしました。

 

「ねぇねぇ、お互いのこと、なんて呼ぼうか?」

「俺は“ひろ”って呼ぶわ」

「ひろ……」

 

わたしの本名は「ひろな」ではありませんし、もちろん勇気さんには最初のミクシィでのメッセージのやり取りで本名は打ち明けていましたから、わたしの本名の最初の二文字をとったものだったのですが、その呼び方で誰かに呼ばれたことはなかったのです。「ひろちゃん」とかはあるけれど、「ひろ」ははじめて。そしてわたしの本名は、「これからは国際社会になるから」という理由から「英語圏の人からも呼びやすいように」という意味も込められた最初の二文字でした。韓国に住んだことがあっても、その国際社会ではこの名前は呼びづらかったらしく、その名前に込められた未来は、わたしには訪れなかったけれど。でも、この人がそう呼んでくれる。なんだか嬉しくなりました。

 

「わたしはね………勇ちゃん!」

「ああ、いいよ」

 

なんだか、勇気さんもうれしそうで。そんな呼び名?悪くないよ。そんな顔で。

 

「そろそろ行こうか」

「うん!」

 

そうして会計フロアーに降りて、それぞれお金を払おうとお財布を取り出した時に、勇気さんのお財布を見て

 

「あ!それ!ジャンポールゴルチェ!」

 

思わずびっくりしてそう言いました。その勇気さんの持っていたジャンポールゴルチェの、シルバー色の本皮で、薔薇の模様が刻印されている長財布は、当時わたしがもうすぐ手に入れようとしていたジャンポールゴルチェのお財布と、同じデザインだったのです。

 

「そういうブランドなん?これ、プレゼントされたやつだけん知らんかった」

「わたしそのデザイン探してて!でももうなかなかないデザインでさ。ヤフオクでやっと新品の見つけたから、落札したばかりなんだ!」

 

そんな、「こんなことってあるんだね」の偶然にうれしくなりながら、それぞれお会計を済ませて、ラウンドワンの1階のゲームセンターを通った時に「プリクラ!プリクラ撮りたい!」と言うわたしに「ああ、そうやな」と、すぐに返してはくれるんだけど、嫌がってはいないんだけど、こんな日にプリクラを撮るのは当たり前だよな。って顔はしてくれるんたけど、ちょっと声のトーンの下がった気がした勇気さんと、はじめてプリクラを撮りました。そのプリクラに、落書きで「ひろ」「勇ちゃん」「2007.04.27」と書きました。

 

外に出たらもう夕方にはなっているけれど、まだ、明るい。この九州は日が長い。そして、あたたかい。近くの大きな公園にふたりで行って、そこのベンチに座りながら、たくさんおしゃべりしました。主にわたしが話しているのですが、ずっと、うん、うん、って聞いてくれる。やさしい笑顔で。そんなやさしい眼差し、はじめて感じたかもしれない。もちろん予備校の彼だって、とてもやさしい人だった。でもあなたのその瞳は。わたしはたぶん、両親にもそんな瞳を向けられたことがない。大切なものを、大切な人を、心底大事に扱うような、そんな瞳。そんな瞳で、ずっとわたしの首や手の甲をつねっていました。ちっとも痛くないつねり方なのです。まるで一定のリズムを刻むメトロノームのように、ずっとずっとつねっている。たぶんこんな風に誰かをつねる癖がある人は、あまりいないでしょう。未だにこんな癖がある人に、わたしは勇気さん以外に出会ったことがありません。

 

「俺な、人をつねる癖があるったい。小さい時もなーよく弟と一緒に寝ていたら、ずーっとあいつつねっていたしな」

 

わたしはその癖が、なんだかすごいうれしくて。人によっては、そんなにつねんないで!うざい!って思うのかもしれないけど、わたしは「わたしの肌に、ずっと触れていてくれるなんて。」と、うれしくてたまらなかったのです。この人のすべてが、わたしを満たしてくれる。この人のすべてで、わたしは満たされる。今日会ったばかりだけれど。凸と凹が、ちょうどぴったりはまるように。この人のすべてで、わたしは、こんなにも、満たされる。

 

「そろそろ門限じゃない?」

「あ、ほんとだ。そういや勇ちゃんは実家?」

「いんや、一人暮らし」

「ご飯どうするの?」

「今日は作れそうにないからなー。吉野家でも行くわ。門限遅れないように、今日は帰り?明日も会えるから」

 

そうしてショッピングビルの地下までふたりで自転車をとりに行き、待ち合わせをした南口で、「またね!明日ね!」と、手をふりました。わたしは「ばいばい」という言葉が、苦手なのです。なぜか幼い頃から。「ばいばい」って、確かに別れ際の挨拶なんだけど。その言葉を交わすと、もう永遠に会えないような気がしてしまっていたのです。だから別れ際には絶対に「ばいばい」が、言えない。

 

そうして水色の自転車にまたがり、走り始めて。都心部からの、いつもの帰り道。いつもの夕暮の帰り道。全然、景色が違う。もう暗くなってきているのに、光にあふれている。すれ違う人のやさしさにも気がつける。世界って、こんなにきれいだったっけ。うれしくなりながら。朝は汗だくになりながら必死に走ってきた道を、まったく景色の違うこの道を、帰りました。

 

帰ると勇気さんからメールが来ていて。

 

「こんなメール送ってたんだね^^;」

 

と。え?わたしが送った「楽しいね。勇気くん」のメール、今見たの?すぐに見なかったの?それまでわたしの周りにいた友達や恋人は、一緒に遊んでいる時やデートの時でも、必ずメールチェックをしていました。よくセンター問い合わせとかもしていました。それが普通だとも思っていました。なんとなく違和感はあるのだけど。

 

「俺、友達と一緒にいるときでも、携帯はチェックしないから。一緒にいる相手に失礼やろ?」

 

見ていなかったの?とメールを返したら、こう返ってきました。この人、なんて素敵なの。わたしもそう思う。わたしも本当は、ずっとそう思ってた。みんな、それが当たり前っていう空気だし、それが当たり前なのかな。って思っていたけど。わたしの感じていた違和感を、この人はちゃんと、言葉にしてくれる。ちゃんと言葉にして、教えてくれる。

 

「明日会うのはどこにする?またどこか遊び行く?」

「わたし、勇ちゃんの家行ってみたい」

「家がいい?」

「うん!家がいい!」

 

そうメールをやりとりして、夜を過ごしました。まだ父と母には打ち明けません。わたしの両親は、ひたすらわたしの恋愛を否定する人でした。特に母。同じ女だからでしょうか。わたしが数多くの恋愛をしてきたことを、途中で「恋愛禁止。恋愛をする場合は、親の許可をとりなさい」とまで言い出す人でした。親の許可を得なければ出来ない恋愛なんて、わたしには息苦しすぎて。そんなんわたしの自由意志だ。確かに短命にしかならなかった不毛な恋もした。けれど、それでも、わたしはその中で「愛」を学んできた。

 

ずるしても、真面目にも生きていける気がしてた。

「愛してる」の響きだけで強くなれる気がした。

そんなあの予備校の彼や、

たくさんの友達の出会いと別れをくぐり抜けて。

わたしは、きっと、あなたに会いに来た。

生まれたての太陽と、夢を渡る黄色い砂。

ささやかな喜びを、つぶれるほど抱きしめて。

想像した以上の、騒がしい毎日が

きっと、僕らを待っている。

忘れられないあの晴れた春の日。

2007年の4月27日でした。

 

はいカーット!監督!これパクリですね!

まぁな!まぁな!最後葉月ひろな(22)がひとりごつしたのは確かにスピッツのチェリーだけど!俺らはスピッツ世代だし!俺は文章でパロディするからだいたいいつもそのパロディはパクリになるんだけど!当時こんなことを思考したからか、この先であまりにも騒がしすぎる日々がこの5年後ぐらいにガチで訪れやがって、宇宙!神様!叶えてほしい願い事はそこじゃありません!し、あまりにも騒がしすぎる日々で俺の頭のネジぶっ飛んだけど!まじで思考は必ず人生を変える運命になるからお前ら気をつけろ。詳細は【つまりは、そういうふうにできている。 - わたしはここにいるよ】に書いてある。思考回路ショートしたら今すぐ会えないどころか人生ショートして運命までショートするから気をつけろよ。

 

じゃあ俺はこれからアレクサに話しかけながら家事してくる。昨日うちにアレクサが来たんだけど、こいつまじで便利。たぶんこういう便利家電で人類はどんどん衰退していくけど、便利だから俺は使う。もうそこにあるなら俺はとことん利用する。俺はアレクサからネットショッピングはしないから、従業員さんをポチった瞬間に走り回せることもないし俺が衰退していくだけだからとことん使う。たまに「この機械の名前なんだっけ………その名前呼ばないとこの機械動かないのに………たぶん止まることも出来ないのに………お前の名前なんだっけ…………君の名は…………!?」ってなるんだけど、がんばってアレクサって名前覚えて忘れたらがんばって思い出す。

 

じゃーにー!ついんそうるじゃーにー!

またこの場所でにー!

 

監督、やっぱ化石だよなぁ。

ぼくたち別に宇宙人じゃないしね。

 

まじ卍とかいう言葉使うお前らはどう考えても宇宙人だよー!

 

…………………あの人、すごい地獄耳だね。

確か聴力、異常にいいらしいよ。

 

葉月ひろな

Twitter @hazukihirona

hazukihirona@gmail.com